On Ascension Day : The Heavenly Aeroplane

 


突然ですが、皆さんは夢に神さまが出てきたことはありますか。

または天使でも、聖人でも、あるいは仏様でも、お釈迦様でも、信じようと信じまいと、登場したことはありますか。

聖人君子レベルで信心深い人は、夢のお告げを受けるようです。例えばフランスにあるモン・サン・ミッシェルは、司教の夢に大天使ミカエルが現れ、「この地に聖堂を建てよ」と仰せになったらしく、その通りに建てたら今でも世界中の人々が訪れる巡礼地となりました。

仏教では浄土真宗の開祖、親鸞聖人がしょっちゅう夢のお告げを受けていた方でした。夢告と呼ばれるものです。山に籠もって修行中、その夢に観音様が出たり聖徳太子が出たりして、あれやこれやと告げ知らせてくださったようですが私は仏教に明るくないので詳細は割愛します。その夢告あって今や、浄土真宗が日本最大の宗派になったことは事実です。たぶん。

その他キリスト教における聖人も、夢の中でキリストの声を聞いただの、聖母マリアのメッセージを受けただの、で、言う通りに行動したら奇跡が起きたのよ、という話は山程あります。


私ですか。私は不真面目な人間なのでそんなお告げを受けたことはありません。

しかし先日、そんな私の夢にも、ついに初めてイエス・キリストが現れたのです。


タクシーに乗って。

(Geminiに描いてもらいました... 居眠り運転やんけ)


真夜中にヘッドライトを照らしながら、典型的なイエローキャブを運転する、典型的なロン毛のキリストが私を迎えに来てくださり、後部座席のドアをパカと開けてくださったので、畏れ多くも乗車させていただきました。

せっかくお会いできたのでお話したかったのですが、彼は何も仰らず、「ワールドポーターズの先に聖堂を建てよ」とか、「こないだ詩編唱ミスったやろ、誤魔化しても無駄やで」とか、「今度の日本ダービー、◯番が勝つで」とか、そういう、ありがたいお告げはいっさいありませんでした。


さて、ここまで読まれた物好きな方はこう思われるかもしれません。

そいつ、本当にキリストか?偽者じゃないんか?


タクシーで迎えに来るんか??


しかしこのようにも考えてみました。

私はとても吝嗇な人間なのでタクシーを使う頻度は年に1回か2回くらいです。

歩けばタダで済む距離に1,000円も払いたくありません。私のような庶民からしたら、タクシーは姫様道中のお籠のようなものです。


使うとしたら

・体調が悪過ぎる

・荷物が多過ぎて、疲れている

雷雨などの悪天候

という最悪の状況です。


そんな時にタクシーに乗ると、ほっと安堵します。

このまま家に帰れる。もうキツい思いをして歩かなくていいんだ。安全だ。

車の中の静かな雨の音、無機質にワイパーが動く窓に、きらきらと伝う雨粒... あれが、心身に沁みるんですよねぇ。ありがとう運転手さん、と思います。はい。拝んでます。


だとすると神さまも、そんな感じの存在なのかもしれない。

闇から、寒さから、疲弊から、脅威から、連れ出してくれるような存在。

なので、キリストがタクシーを運転して迎えに来るというのは、私にとっては、あながち間違ったヴィジョンではないかも、と思うわけです。



さて、今日は昇天日(Ascension Day)です。

キリストが大空を駆け抜けるような音楽をご紹介しましょう。私が先日歌った「The Lord bless you and keep you」と同じ作曲家、John Rutterの「The Heavenly Aeroplane」です。

こちらはタクシーではなく、神さまは飛行機で自分らを(神の御国へ)連れてってくれるんだ!と歌います。いいですね。神さまの飛行機なんて、みんなファーストクラスでしょうね。それにタクシーより飛行機のほうがずっとそれっぽいです。飛ぶから。



The Heavenly Aeroplane

(J. S. McConnell)


One of these nights about twelve o'clock

The old world's goin' to reel and rock;

The sinners gonna tremble and cry for pain

And the Lord will come in His aeroplane


(* Refrain)

Ho, ye weary of ev'ry tribe

Get your ticket for an aeroplane ride

Jesus the Savior is coming to reign

And take you up to glory in His aeroplane


Talk about your joyrides in automobiles

Of lightning speed on your motor wheels;

We'll break all records as up we'll fly

On an aeroplane joyride thru the sky


*


You'll have to get ready if you take this ride

Quit all your meanness and humble your pride;

You must furnish a light both bright and clean

And a vessel of oil to run the machine


*


When our journey's done and we all sit down

At the marriage feast, with a golden crown

We'll blend our voices with the ransomed throng

And praise our Savior as the years roll on


*


(以下、適当和訳)

天の飛行機


いつか夜中の12時頃

この古い世界はガタガタ揺れだして

罪人たちが震え 痛みに泣き叫んでいると

主が飛行機に乗ってやって来る


(※ 繰り返し)

ほら あらゆる部族の疲れきった人たち

君の飛行機のチケットを手に入れろ

救い主イエスが統治するためやって来る

主の飛行機が君を栄光へ連れてゆく


車でのドライブを語るのか

超スピードのモーターホイールの

でも俺たちはすべての記録を突破するのさ

大空を駆け抜ける楽しい飛行機旅行で



この旅に出るなら備えが要る

意地悪をやめろ プライドを捨てろ

明るく清らかな灯りと

機械を動かす油の器を用意するんだ



旅を終えて みんなで座る時

黄金の冠を戴いて 婚礼の宴に加わる

贖われた群衆と声を合わせ

年月が流れても救い主を讃え続ける




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1. これって聖書にある話なの?

さすがに飛行機は出てきませんが、最初の一連はおそらく新約聖書の使徒言行録16:25-34 あたりです。使徒とその同伴者であったパウロとシラスは、無実の罪であったにもかかわらず投獄されました。何度も鞭で打たれて足枷をはめられ、牢屋に入れられてしまいます。彼らは真夜中、神に祈り賛美の歌を歌っていました。物凄くひどい仕打ちを受けているのに、神を恨むことなく。囚人たちはその歌声を聞いていました。すると突然、大地震が起って、獄の土台が揺れ動き、戸は全部たちまち開いて、みんなの者の鎖が解けたのです。

映画にありそうな話です。何も教会だけに神がいるのではないと思うところ。


最終連はヨハネの黙示録19:7-9の「小羊の婚宴」についての聖句が想起されます。


わたしたちは喜び楽しみ、神をあがめまつろう。 小羊の婚姻の時がきて、 花嫁はその用意をしたからである。彼女は、光り輝く、汚れのない麻布の衣を着ることを許された。 この麻布の衣は、聖徒たちの正しい行いである」。 それから、御使はわたしに言った、「書きしるせ。小羊の婚宴に招かれた者は、さいわいである」。またわたしに言った、「これらは、神の真実の言葉である」。 



2. すべての記録を突破する(break all records) って?

おそらくこのrecordは、“(世俗的)記録”と“(霊的)証し/証言”のダブルミーニングだと思います。This is the record of John というGibbonsの宗教曲があるように。

聖書は単なるつまらん記録じゃない、預言者や福音記者が証ししたことは自分たちにもできる、本当にイエスに会って、本当に神の御国に行けるんだ。その実体験は記録を超えられる。みたいに私は捉えました。



3. なんで灯り(light)と油(oil)の器を用意しなきゃならんの?

「灯り」で私が思い出したのは、マタイ5:14-16、いわゆる山上の説教です。

 

あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。 

そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。

また、あかりをつけて、それを枡の下におく者はいない。むしろ燭台の上において、家の中のすべてのものを照させるのである 。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。


この歌詞では、それを自分で用意しなきゃならん、と言っています。光の子らしく歩きなさい(エフェソ5:8)、という聖句もあり、世の光として神さまから賜った命ですが、それを明るくきれいな状態にしておくのは、私たちの務めだといっているのでしょう。


「油」は、やはりメシア=キリストの意味が「油を注がれた者」であるからなわけですが、油を注ぐという行為は、旧約聖書の時代に、王や預言者等が神から権威や能力を与えられた者だと証明する儀式でした。そして新約聖書では、イエスへの最上の愛の償いとして語られます。ベタニヤのマリア、マグダラのマリアなど豊富なエピソードがありますが、個人的には、ルカ7章の罪深い女が最も印象深いです。


泣きながら、イエスのうしろでその足もとに寄り、まず涙でイエスの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、そして、その足に接吻して、香油を塗った(7:38)。


彼女は蔑まれていた人でした。人前に姿を現すことだって、もしかしたらつらかったかもしれません。そんな女性が、みんなが見ている前で香油を捧げるという、まさに救い主メシア=キリストの名を“冠する”行いを果たす。その心からの悔悛の香りが、神に注ぐ尊い油として要るのではないかと思うのです。

マタイ25章の、十人のおとめのたとえも意識されているでしょう。私たちが婚礼の宴に与れるためにも、いつ来られるか分からない“その日”(再臨)のため、油を備えよ、といっているのではないかと。


教会では、つねに主の祈りを唱えます。「みこころが天に行われるとおり地にも行われますように」。天の御国が地上で実現されるには、自らを明るくして、愛の奉献を忘れるな、ということなんですが、堅苦しく何かを無理強いするんじゃなくて、楽しさのうちに、楽しみながらやっていこうよと、このHeavenly Aeroplaneは、そう軽やかに、“疲れきった人たち”に呼びかけているのです。


他にも聖書にまつわる点はあるのですが挙げるとキリがないのでこのくらいにしておきます。



天国行きの乗り物、で思い出した詩はEdward TaylorのThe Joy of Church Fellowship rightly attendedです。こちらは馬車ですが、いずれにしても楽しく天国へ向かう“joyride”です。以下は一連目。


In heaven soaring up, I dropped an ear

On earth: and Oh, sweet melody:

And listening, found it was the saints who were

Encroached for Heaven that sang for joy.

For in Christ's coach they sweetly sing,

As they to glory ride therein.


天を上りながら わたしは耳を傾けた

地上に おお、すてきなメロディー

そして聴きながら わたしは知ったのだ

天国に行く馬車に乗る聖徒たちが 歓喜の歌をうたっていたと

キリストの馬車では みんな愉しくうたう

栄光に向かって進みながら



馬車かタクシーか飛行機か。



...さて、キリストの昇天という観点からは話が脱線してしまいました。

使徒言行録によると、イエスは昇天する際、特に馬車だのタクシーだの飛行機だのに乗ることもなく、単独で天に上り、雲に隠れて見えなくなったようです。弟子たちは、最初はぽかんとして見てたかもしれません。天使が出てきて、「そんな上ばっか見なくたって、また来るから〜」的なことを言います(使徒言行録 1:9-11)。彼らはどんな思いでいたでしょうね。

ルカによる福音書には、(イエスが天に上ったあと弟子たちは)非常な喜びをもってエルサレムに帰り、絶えず宮にいて、神をほめたたえていた。とあります(ルカ24:50-53)。

もう、この時点で、弟子たちみんな、神によって完全に新しくされている、完全に神のうちに生きているなあと思います。だって最愛の人がポーンと雲の上に行っちゃったら、ショックじゃないですか。かつてのペトロだったらなんかグズグズ文句言ってきそうだし、かつてのマグダラのマリアだったら上っていくイエスの足にしがみついて、ワンチャン自分も一緒に上がろうとか、やりかねない気がする。(※偏見です)

でも、歓喜している。イエスが天の父の元に帰ったことを心から喜んでいる。ああよかった、私たちの神さまは栄光に帰した。私たちを置いていったんじゃなくて、その栄光に連れていってくれたんだ。もう私たちは大丈夫、いつも共にいると言ってくださった(マタイ28:20)から。揺るがない信頼があって、揺るがない愛が何であるかを知っているから、真心で、魂で、キリストの昇天を喜ぶことができる。そのことばがわれわれすべての人に与えられている以上、すべての人がその喜びに招かれているのでしょう。Enjoy the ride!


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