SANKA Ⅱ à Paris ―Tu sais toute chose, tu sais que je t'aime―
3月30日に行われた「讃歌Ⅱ」パリ公演のことを、書こうと思いながらレントやら聖週やらのゴタゴタで先延ばしにしていたのですが、昨日の教皇フランシスコの葬儀ミサを観て、はたと思い出しました。
ミサで朗読されたのがヨハネによる福音書21章15-19節で、奇しくも、「讃歌Ⅱ」の終曲にあたる「声に」の詩に引用した聖書箇所と同じ(17節)でした。
パリでのプログラムに掲載された詩は、マリアンヌ・シモン=及川先生に仏語翻訳していただきました。(本当にありがとうございます。)
(オーガナイズしてくださったLionel AvotさんのFacebookから拝借しました。Merci beaucoup !)
「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます。」
Seigneur, tu sais toute chose, tu sais que je t'aime.
ヨハネによる福音書 (Jean) 21:17 より
フランス語では、「あなた(you)」を、友人や家族など、親しい人とはお互いにtuで話し(tutoyer)、初対面の人や店員、上司などにはvousで話し(vouvoyer)ます。(上司でもtutoyerで話そうよ、という人もいて、人によります。vousは敬意の表現で、vouvoyerだからよそよそしいという訳では必ずしもないと思います。)
神さまに対しては基本的にtuで語られ、これは日本語と違うところだと思います。tutoyerだと、ペトロとイエスが仲の良い、親しい者同士であるように感ぜられます。
“Tu sais toute chose, tu sais que je t'aime.”
「全部わかってるんでしょう、僕があなたを愛してることだって」
みたいな感じでしょうか。
「声に」の詩の一部です。
主よ 愛しきその声に
わたしは何と応えよう
Seigneur, que dois-je répondre
À ta voix que j'aime
実は詩を書いたときにはそこまで意識していなかったのですが、翻訳されたことで、この詩がヨハネによる福音書に書かれた“愛”への応答なのだと、私自身が再発見しました。
私が愛している主の声に、何と応えたらいいだろう。
“私”のなかに、ペトロがいるのです。イエスから三度も「わたしを愛しているか」と聞かれたこと... 愛しているイエスを「知らない」といって裏切ってしまったこと、後悔して、取り返しがつかなくて、激しく泣いたということ...
あなたはそれを何もかも知っている。何もかも知って、それでも愛してくださっている。その愛に何と応えたらいいのか。
パリでの録音を聴きました。
会場の教会 Église protestante unie de l'Étoileのオルガンは、カヴァイエ=コルがオリジナルだそうで、
(こちらのサイトに非常に詳細に書かれてありました)
その音には、驚いた、というのが正直な感想です。
人を天へ連れて行くような人智を超越する神秘に満ちながら、ものすごく人間くさくて、ひとつひとつのパイプが感情を持っている音もして、矛盾が矛盾せず(そう、人は神の似姿として創られたのだから本当は矛盾ではない)、神の意図のように美しさとして統合され、聖化されている。そんな印象を受けました。
こういうオルガンがあるから、フランクやデュプレやヴィエルヌが書くような曲が生まれるんだな、と思いました。
そして何より、美しい歌声と調和していました。旋律が天使の翼を持って、天へ帰還するような歌でした。
今井奈緒子さん、鈴木美紀子さんに心から感謝しております。
そして坂本日菜さん、本当にありがとうございました。
「讃歌 Ⅱ」の東北学院大学での録音を、日菜さんがYouTubeに上げてくださいました。
詩も概要欄にすべて載せていただきました。
是非ご覧いただけますと幸いです。



