詩人 吉原幸子 愛について

 吉原幸子さんの命日なので、今年出た本「詩人 吉原幸子 愛について」(平凡社)を読む。





写真や本人の手記などのさまざまな記録、そして詩集、詩で、詩人・吉原幸子の生涯を辿る。
資料としてもとても貴重な一冊。

舞台の人でもあり、母親でもあり、「ラ・メール」という文学を通した、一種のフェミニズム運動とも呼べる働きの先導者でもあり。色々な顔を持っていて、そのすべての原動力の根底が愛だったのだなと思う。
恋愛、子供への愛、母への愛、弱いものへの慈愛、人間愛。
愛をどのように表現するかはひとそれぞれ違うけれど、彼女の詩を読んで私が感じるのは、つねに"真剣"だということ。
熱く、真っ直ぐで、鋭い。
また詩集を読み直している。



さびしいなんて
はじめから あたりまへだった
ふたつの孤独の接点が
スパークして
とびのくやうに
ふたつの孤独を完成する
決して他の方法ではなされないほど
完全に
うつくしく

(「オンディーヌ」より)


もう 腹立たしさや
さびしさによって泣かない
ないものねだりによって泣かない
ひそやかに 控へめに
わたしは わたしであることを詫びながら
うづくまって待ち
なほさしのべられる
世界の あなたの
不意のやさしい抱擁にこそ 涙ぐむのだ

(「追放」より)


もしも あなたが死なないのなら
あなたは そんなに光りはしないだらう!

(「誕生日」より)


あんなにキリキリと痛んだわたしたちの生(いのち)も
ほら やっと静かにまたたいてゐるよ
あそこに
ハツカネズミのとなりに

(「発光」より)


夢として 過ごした日々に
わたしは孤独であり 孤独ではなかった
列車の窓際に 濡れたハンカチーフの小山が築かれ
泣いても泣いても涙が出る

(「落雷」より)

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