日本現代詩人会 詩投稿欄 第29期佳作作品

 日本現代詩人会  詩投稿欄  第29期(2023年4月~6月)において、拙詩「清貧」を渡辺めぐみ氏により佳作に選んでいただいた。

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丁寧な選評をいただき、とても嬉しくありがたい。

この詩はアッシジのフランチェスコ的な求道、清貧に生きるということを、現代社会における一庶民が実践しようとした場合において、貧しく生きること、つまり安物を買わざるを得ない状態は、かえって労働搾取や環境破壊に加担することではないか、本当に貧しく生きることは、さらなる深刻な貧者を踏みにじってやしないか、その生き方はキリスト者として“清らか”なのか?という問い、を率直に書いた。フランチェスコの場合は、元々が裕福な出自でありながらすべてを売り払ったところに聖性があるのだろうが。ポエジーのある詩ではないが、今世紀的意識であり、私にしては(?)社会的な風合いを持つ詩かなと思う。などと書いてはみたものの、前期佳作だった「祈りの家」もそんなような作品だった。自分は社会派のポジションに立てるほど社会に生きていないと自分では思うのだが、いわゆる抒情詩人ではないのかもしれない。




清貧


貧しくなれば
あなたに近づけるのか
神よ ここでは
貧しい人ほど
だれかを苦しめることでしか
地球を痛めつけることでしか
生きていけないのです
きょうも
夢見ることなく殺された
鳥の脚を口にする
夢見ることなく操られた
女の血で織られた服を着ている
見えない たくさんの子どもたちの
心臓をひとつひとつ踏み潰す
豊かでなければ選べない
優しい生き方など
神よ それでも
わたしの手は清いですか
わたしの口から出る歌は
清いですか




【渡辺めぐみ氏による選評】

理念的な問いかけの言葉からなっているが、不条理な不合理な今生の社会を真剣に生きている者たちの心の琴線に触れる作品である。「貧しくなれば/あなたに近づけるのか/神よ ここでは/貧しい人ほど/だれかを苦しめることでしか/地球を痛めつけることでしか/生きていけないのです」という作者の嘆きの断定調が、当たり前のようでいて書かれることにも意味があると思わせる語り口をこの作者は持っている。「神よ それでも/わたしの手は清いですか/わたしの口から出る歌は/清いですか」という終わり部分の問いかけは、声楽家としての自身の生き方への自問となっていて力強い。

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