科学の幽玄




写真展「科学の幽玄」
赤レンガ倉庫にて。
横浜フランス月間2023の一環として開催されている。




日仏の様々な分野(人間科学、自然科学、医療、海洋生物学、物理学、宇宙開発等)における研究、実験の過程で撮影された写真。
美しく神秘を感じる写真の数々だった。

私が最も惹かれたのは、「金継ぎ Kintsugi」と題された、アマガエルの目を映した写真。




進化生物学の研究者であるAndré GILLES氏によるもので、氏が福島原発事故以降、アマガエルを用いて放射線がDNAに与える影響を研究している過程で撮影した作品。
このアマガエルの目(虹彩)が、日本の金継ぎのように見えると、研究者本人による解説が添えられていた。
金継ぎが象徴するものは損傷と修復、終末でなく復活(再生)、そして平和。眼の形成はPAXと呼ばれる遺伝子が制御していて、これは平和を意味するラテン語である...... という氏の解説を見た後に、この写真を見ると、科学に内在している輝く詩情が見えてくるようだった。


ヒトの、染色された細胞や神経の顕微鏡写真も良かった。

「秘密のレース ~角膜内皮の隠れた傷跡~ Dentelles Secrètes. Cicatrice cachée de l'endothelium cornéen. 」
(Gilles THURET)




「角内膜 Surface Oculaire」
(Zhiguo HE)


科学技術の進歩によって、本来は見えないものが見えるということ。
人体、だけでなく、あらゆる生命体それ自体が、ひとつひとつの小さな宇宙だと思わされる。傷が人間の意志とは関係なしに自然と再生に向かうこと、人間の知覚の及ばないところで、そのような見えない美しい働きが存在するということ、それらを知ることは、暗く閉ざされているように見える世界を突破していくための、微かな希望の光ではないか。

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