森村誠一「悪魔の飽食」と夏休みの読書感想文
森村誠一氏が亡くなったとのこと。なぜか私は高2の夏休みの読書感想文を「悪魔の飽食」で書いてしまい、なんであんなドエライ本を選んだのかと今でも思う。修学旅行で広島に行く予定で、国語の授業で読むのは井伏鱒二の「黒い雨」、戦争の加害者としての日本(人)を見たかったのだろうか、自分は?あの話がどこまで本当なのかということはあるにせよ、人間は人間に対してああも非道で残虐になってしまえる、そのことに国籍はないということを知れたので、今となっては貴重な読書体験だったと思う。折に触れ戦争について考える時、あの本を読んでおいて間違いではなかったな、と思うことがこれまでの人生において何度もあった。内容は極めて凄惨だが、私にとってはその後の思慮をほんの少しだけ豊かにさせてくれた本だった。左翼的だと受け取る人もそれなりにいるような本で書いたのに、国語の先生は努力賞だか奨励賞だかをくれて、ダースのチョコレートをくださった、そのことを氏の訃報と、“学校”の夏休みが始まったことで思い出した。格別自由な読書の機会を私に与え、へそ曲がりの感想文を拒まずにいてくれた当時の先生に心から感謝したい。

