かまいたち騒動
連日、左脚に切り傷が生じるという事件があった。 まったく記憶にないので、かまいたちがうちにいる。うちにいるど。と騒ぎ(単独)になった。夏だしお化けとか妖怪とかが網戸から入ってくる。入らないサイズの場合、どこかで憑かれて持ち込んだ可能性がある。かまいたちなんてどこで憑かれたんだか。桜木町のバーガーキングか。こりゃ霊障じゃ。キヨメタマエハラエタマエ。ナムアミダブツ。クワバラクワバラ。ハチノスピリカライタメ。キリエエレイソン。アサガヤシマイ。バルス。とあらゆる宗派のお祓いを思いつく限りぜんぶ詠唱してみたけれどほんとうにかまいたちが去っていったのか皆目見当がつかない。右足を見ると親指の爪がとてつもなく伸びている。どれくらい伸びているかと言うと切って加工したらマンモスが倒せる。その爪の尖端が欠けていて、よく見ると血痕がついている。これじゃん。私がかまいたちと信じ込んでいたものは自分の右親指の爪でした。すべて私が悪う御座いました、諸悪の根源は己の生活習慣にこそあれ。そんなことは自分が一番よく知っている。正論を最も熟知する者それすなわち己の肉体。栄養のあるものを食べて十分に眠り、生活リズムを整えてはじめて私たちは罪の鎖から解放されるのだ違いますか。爪さえ切っていればかまいたちなんかに会わないんだ違いますか。そんなことは自分が一番よく知っている。知っていることとできることは違う。

